「日勤は8時半開始だけど、7時半には病棟に入って情報収集と点滴準備」 「業務終了後は、時間外手当がつかない委員会活動や研修会で帰れない」
看護師の皆さん、これを「プロとしての責任」や「業界の常識」だと思い込まされていませんか?
弁護士の視点からハッキリ申し上げます。それらは全て、明白な「法律違反(労働基準法違反)」です。
患者さんの命を預かる尊い仕事だからといって、あなたの労働者としての権利が犠牲になっていい理由にはなりません。今回は、多くの病院で常態化している「見えないサービス残業」の法的問題点と、労務管理が適正な「ホワイト病院」へ転職するための見極め方を解説します。
3-1. 看護師
危険信号:「前残業・委員会活動の無賃労働」
看護業界における最大の労働トラブルは、**「労働時間とみなされない時間」**が多すぎることです。病院側が「自主的な活動」という建前で、事実上の強制労働を強いているケースが後を絶ちません。
ここが危ない!法的な落とし穴
- 「前残業(始業前労働)」は労働時間です:
- ユニフォームへの着替え時間
- 申し送り前の情報収集(カルテチェック)
- 点滴や医療機器の準備 これらは全て、業務を行うために不可欠な準備行為であり、**会社の指揮命令下にある「労働時間」**です。始業時刻前にこれらを義務付けているにもかかわらず、早出残業手当を支払わないのは違法(賃金不払い)です。
- 時間外の委員会・研修も労働時間です: 「感染対策委員会」「医療安全委員会」などの活動や、時間外に行われる院内研修。これらが「自由参加」ではなく、事実上の「強制参加」(欠席すると人事評価に響く、後でレポート提出が必要など)である場合、当然に割増賃金(残業代)の支払い対象となります。「勉強のためにやらせてあげている」という病院側の理屈は法的に通用しません。
これらの「チリ積も」な未払い賃金は、年間で計算すると数十万円〜百万円単位になることも珍しくありません。
弁護士のアドバイス:タダ働きを強要しない病院の見極め方
「奉仕の精神」を搾取されず、プロとして正当に評価される環境で働くためには、転職時に以下のポイントを厳しくチェックする必要があります。
① 面接で「始業時間」の実態を確認する
「日勤の始業は8時半ですが、皆さん実際には何時頃に来て準備を始めていますか?」と質問してみましょう。 ホワイトな病院は「情報収集の時間も勤務時間内に組み込んでいます」「着替え時間も労働時間として認めています」と明確に答えます。言葉を濁したり、「個人の裁量に任せています(=早く来るのが暗黙の了解)」と答える病院は危険です。
② タイムカードの打刻タイミング
可能であれば、見学時などにタイムカード(または静脈認証など)の打刻が出退勤時いつ行われているかを確認します。「着替える前に打刻」「全ての業務(委員会含む)が終わってから打刻」が徹底されているかが、労務管理のバロメーターです。
③ 看護師専門エージェントで「内部事情」を探る
求人票の「残業月平均10時間」を信じてはいけません。それは「申請が認められた残業時間」に過ぎない可能性があるからです。
看護師専門の転職エージェントであれば、 「この病院は、前残業代を請求した看護師が退職に追い込まれた過去がある」 「ここは電子カルテのログで労働時間を管理しており、サービス残業が物理的にできない仕組みになっている」 といった、外部からは絶対に見えないリアルな情報を持っています。
あなたの献身的な働きに見合う、真っ当な職場を見つけるために、プロの情報網を活用してください。



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