【弁護士が警告】ゲーム業界の「デスマーチ」。クリエイターの「好き」を食い潰す違法残業と安全配慮義務違反

平成レトロな劇画タッチのイラスト。ゲーム開発会社の深夜のオフィス。「納期厳守」の張り紙の下、プログラマーやCGデザイナーたちが目の下に深いクマを作り、エナジードリンクの空き缶の山に囲まれて作業している。床には寝袋で寝ているスタッフもおり、モニター画面には大量の「バグ報告」が表示され、絶望的な雰囲気が漂っている。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

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「最高のゲームを届けたい」 その純粋な情熱を持っている人ほど、ゲーム業界やCGプロダクションでは危険な目に遭いやすいのが現実です。

マスターアップ(納期)前の徹夜、泊まり込み、休日返上……業界用語で**「デスマーチ(死の行進)」**と呼ばれるこの状態を、「クリエイターの宿命」だと諦めていませんか?

弁護士の立場から断言します。「好きでやっているから」といって、労働基準法が免除されることはありません。 今回は、ゲーム業界特有の長時間労働の法的リスクと、使い潰されないための「ホワイトなスタジオ」を見極める方法を解説します。


ゲーム業界・CGクリエイター

危険信号:「デスマーチ(納期前の異常な長時間労働)」

開発終盤になると、家に帰れず会社に泊まり込むことが常態化する「デスマーチ」。 多くの現場では「繁忙期だから仕方ない」「みんなやっている」と正当化されがちですが、法的には真っ黒な状態であることが多いのです。

ここが危ない!法的リスク

  1. 36協定の上限を超える違法残業: 企業が残業をさせるには「36(サブロク)協定」の締結が必要ですが、これには上限があります(原則月45時間、特別条項付きでも年720時間など)。 デスマーチ期間中に、月100時間を超えるような残業や、休憩なしの連続勤務を強いることは、労働基準法違反(刑事罰の対象)となり得ます。
  2. 安全配慮義務違反: 企業には、従業員が生命・身体の安全を確保しつつ働けるよう配慮する義務(労働契約法5条)があります。 「リリースに間に合わない」という経営上の都合で、社員が倒れるまで働かせることは、この義務の明白な違反です。もし過労死やうつ病が発生した場合、会社は多額の損害賠償責任を負います。
  3. 「裁量労働制」の名を借りた放置: 「クリエイターだから時間は自由」と言いつつ、実態は膨大なタスク量で拘束し、残業代を支払わないケースも多発しています。**「業務量が多すぎて裁量の余地がない」**場合は、制度の違法適用となります。

弁護士のアドバイス:ホワイトなスタジオを見極める3つの質問

「夢」を人質に取られて搾取されないために、転職活動では以下のポイントを必ずチェックしてください。

① 「マスターアップ直後の休暇取得率は?」

面接で「繁忙期は忙しいですよね」と水を向けた後、**「プロジェクト終了後に、長期休暇(リフレッシュ休暇)は皆さん取れていますか?」**と聞いてみてください。 ホワイトなスタジオは、繁忙期の代償として十分な休息を制度化しています。言葉を濁す場合は、次のプロジェクトへなし崩し的に投入される「自転車操業」の可能性があります。

② エンドクレジットと離職率の確認

プレイしたゲームのエンドクレジットを確認できるなら、シリーズ作品で**「主要スタッフの名前がどれだけ残っているか」**を見てください。 毎回スタッフが総入れ替えになっているようなスタジオは、プロジェクトごとに人が使い潰されて辞めている「焼畑農業」的な組織である可能性が高いです。

③ 開発体制に詳しいエージェントを使う

外からは見えにくい「プロジェクト管理能力(PMの質)」を知るには、エージェントの情報網が不可欠です。 「リリース延期を適切に判断できる会社か」「仕様変更による手戻りが起きた際、増員やスケジュール調整を行う会社か」。 これらは、ゲーム業界に特化したエージェントであれば、過去の退職者からの情報として把握しています。

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