「最高のゲームを届けたい」 その純粋な情熱を持っている人ほど、ゲーム業界やCGプロダクションでは危険な目に遭いやすいのが現実です。
マスターアップ(納期)前の徹夜、泊まり込み、休日返上……業界用語で**「デスマーチ(死の行進)」**と呼ばれるこの状態を、「クリエイターの宿命」だと諦めていませんか?
弁護士の立場から断言します。「好きでやっているから」といって、労働基準法が免除されることはありません。 今回は、ゲーム業界特有の長時間労働の法的リスクと、使い潰されないための「ホワイトなスタジオ」を見極める方法を解説します。
ゲーム業界・CGクリエイター
危険信号:「デスマーチ(納期前の異常な長時間労働)」
開発終盤になると、家に帰れず会社に泊まり込むことが常態化する「デスマーチ」。 多くの現場では「繁忙期だから仕方ない」「みんなやっている」と正当化されがちですが、法的には真っ黒な状態であることが多いのです。
ここが危ない!法的リスク
- 36協定の上限を超える違法残業: 企業が残業をさせるには「36(サブロク)協定」の締結が必要ですが、これには上限があります(原則月45時間、特別条項付きでも年720時間など)。 デスマーチ期間中に、月100時間を超えるような残業や、休憩なしの連続勤務を強いることは、労働基準法違反(刑事罰の対象)となり得ます。
- 安全配慮義務違反: 企業には、従業員が生命・身体の安全を確保しつつ働けるよう配慮する義務(労働契約法5条)があります。 「リリースに間に合わない」という経営上の都合で、社員が倒れるまで働かせることは、この義務の明白な違反です。もし過労死やうつ病が発生した場合、会社は多額の損害賠償責任を負います。
- 「裁量労働制」の名を借りた放置: 「クリエイターだから時間は自由」と言いつつ、実態は膨大なタスク量で拘束し、残業代を支払わないケースも多発しています。**「業務量が多すぎて裁量の余地がない」**場合は、制度の違法適用となります。
弁護士のアドバイス:ホワイトなスタジオを見極める3つの質問
「夢」を人質に取られて搾取されないために、転職活動では以下のポイントを必ずチェックしてください。
① 「マスターアップ直後の休暇取得率は?」
面接で「繁忙期は忙しいですよね」と水を向けた後、**「プロジェクト終了後に、長期休暇(リフレッシュ休暇)は皆さん取れていますか?」**と聞いてみてください。 ホワイトなスタジオは、繁忙期の代償として十分な休息を制度化しています。言葉を濁す場合は、次のプロジェクトへなし崩し的に投入される「自転車操業」の可能性があります。
② エンドクレジットと離職率の確認
プレイしたゲームのエンドクレジットを確認できるなら、シリーズ作品で**「主要スタッフの名前がどれだけ残っているか」**を見てください。 毎回スタッフが総入れ替えになっているようなスタジオは、プロジェクトごとに人が使い潰されて辞めている「焼畑農業」的な組織である可能性が高いです。
③ 開発体制に詳しいエージェントを使う
外からは見えにくい「プロジェクト管理能力(PMの質)」を知るには、エージェントの情報網が不可欠です。 「リリース延期を適切に判断できる会社か」「仕様変更による手戻りが起きた際、増員やスケジュール調整を行う会社か」。 これらは、ゲーム業界に特化したエージェントであれば、過去の退職者からの情報として把握しています。



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