「入社1年目で年収1000万円も夢じゃない!」 不動産業界の求人広告には、威勢の良い言葉が並びます。確かに、実力次第で高収入が得られるのはこの業界の魅力です。
しかし、弁護士の視点から見ると、その高収入の裏側には**「労働者の生存権を脅かす違法な給与体系」や「人格を否定するパワハラ」**が潜んでいるケースが後を絶ちません。
「契約が取れないなら、給料泥棒だ」「罰金を払え」。 もし今の職場でこんな言葉が飛び交っているなら、それは教育ではなく法律違反です。今回は、不動産営業職が直面しやすい法的リスクと、そこから抜け出すための戦略を解説します。
不動産営業(売買・賃貸)
危険信号:「歩合給トラブルとパワハラ」
不動産営業、特に「フルコミッション(完全歩合制)」やそれに近い給与体系を採用している会社では、労働法を無視した過酷な管理が行われがちです。
ここが危ない!法的リスク
- 固定給が「最低賃金」を割っている: 「基本給15万円+歩合」といった設定の場合、長時間労働を含めて計算すると、時給換算で都道府県の「最低賃金」を下回っているケースが多々あります。 どんなに成果主義であっても、雇用契約を結んでいる以上、会社は最低賃金以上の給与を支払う義務があります。成果が出ないからといって、生活できない給与で働かせることは違法です。
- ノルマ未達に対する「罰金」や「自腹」: 「今月ノルマ未達だから罰金5万円な」「チラシのポスティング代はお前の自腹だ」 これらは明白な労働基準法違反(第16条:賠償予定の禁止、第24条:賃金全額払いの原則)です。会社が損失を従業員に補填させることは、原則として認められません。
- 人格否定レベルのパワハラ: 「詰め(つめ)」と呼ばれる長時間の説教、暴言、他の社員の前での吊るし上げ。これらは安全配慮義務違反にあたり、慰謝料請求の対象となり得ますが、業界の悪しき慣習として残っている会社がまだ存在します。
弁護士のアドバイス:ブラック不動産会社を避けるチェックポイント
「稼ぎたい」という意欲を利用され、使い捨てにされないためには、転職前に以下のポイントを冷静に見極める必要があります。
① 給与体系の「固定部分」を計算する
求人票の「モデル年収」ではなく、「固定給」の額面を見てください。 そして、みなし残業時間が何時間含まれているかを確認しましょう。「固定給20万円(固定残業代80時間含む)」のような求人は、時給換算すると最低賃金ギリギリか、割っている可能性が高い危険な求人です。
② 「反響営業」か「飛び込み・テレアポ」か
精神的な摩耗が激しいのは、無差別な電話営業(テレアポ)や飛び込み営業をメインとする会社です。 一方、「反響営業(Web等を見て問い合わせてきた客への対応)」を謳っている会社でも、実態は反響が少なく、結局テレアポをさせられるケースがあります。ここを見抜くのが重要です。
③ 不動産業界に強いエージェントで「社風」を聞く
不動産業界は、会社によって「体育会系イケイケ」なのか、「コンプライアンス重視のスマート営業」なのか、文化が極端に異なります。
業界特化のエージェントであれば、 「この会社は固定給が高めで、ノルマよりもプロセスを評価する」 「ここは離職率が高いが、インセンティブ率は業界トップクラス(覚悟がある人向け)」 といった、あなたの適性に合わせた内部情報を持っています。
「入ってみたら地獄だった」を防ぐために、プロのフィルターを通してください。



コメント