【弁護士が警告】建設職人を使い捨てる「偽装一人親方」の罠。社会保険料逃れと労災隠しの実態

平成レトロな劇画タッチのイラスト。建設現場の休憩所。困惑した表情の作業員服を着た男性の前に、強面の社長が二つの契約書を差し出している。一つは「正社員雇用契約書」、もう一つは「業務委託契約書(一人親方)」。社長は「一人親方」の方を強く推しており、背中には「社会保険料」「労災保険料」と書かれた大きなドル袋を隠し持っている。背景には「偽装一人親方にご用心!」という看板がある。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

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「来月から、会社を辞めて『一人親方』として独立してくれ。手取りは増えるぞ」

建設現場で汗を流す職人の皆さん、親会社や雇用主から甘い言葉でこんな提案をされたことはありませんか?

一見、自由な個人事業主になれる魅力的な話に聞こえますが、弁護士の視点から言えば、これは**「会社の都合による違法なコストカット(偽装請負)」**である可能性が極めて高いです。

「ケガをしても自己責任」「将来の年金が激減する」 そんなリスクを背負わされないために、今回は「偽装一人親方」の法的な問題点と、正社員として安心して働ける会社を見つける方法を解説します。


1-5. 建設現場職人・技能工

危険信号:「強制的な一人親方化(偽装請負)」

建設業界には、実態は会社の指示命令下で働く「労働者」であるにもかかわらず、契約形式だけを「個人事業主(請負契約)」にする**「偽装一人親方」**が横行しています。

なぜ会社は「一人親方」にしたがるのか?

理由は単純明快。会社が負担すべきコストを逃れるためです。

  1. 社会保険料の会社負担逃れ: 正社員であれば、健康保険・厚生年金・介護保険の保険料を会社が半分負担(労使折半)しなければなりません。しかし、職人を個人事業主にしてしまえば、これらは全て職人の自己負担(国民健康保険・国民年金)となり、会社は負担をゼロにできます。
  2. 労災保険隠し: 労働者であれば、仕事中のケガは国の「労災保険」で補償されます(保険料は全額会社負担)。しかし、一人親方は原則として労災の対象外です(特別加入制度はありますが自己負担)。 「現場でケガをしても、会社の労災は使わせない。自分の保険で治せ」という労災隠しが、偽装一人親方の現場では常態化しています。
  3. 雇用責任の回避: 仕事が減れば簡単に契約を切れるため、解雇規制や失業保険(雇用保険)の適用を逃れることができます。

弁護士のアドバイス:「偽装」を見抜き、正社員として働くためのチェックポイント

「独立」とは名ばかりの、不安定で危険な働き方を避けるためには、転職活動で以下の点を確認しなければなりません。

① 「実態」は労働者か、事業主か?

契約書に「業務委託」「請負」と書いてあっても、実態が労働者(指揮命令下にある)であれば、法的には労働法が適用されます。以下の要素が多いほど「偽装」の疑いが濃厚です。

  • 毎日の作業場所、時間を会社から細かく指定されている。
  • 仕事の進め方について、会社の具体的な指示を断れない。
  • 高価な機械や車両などを、自分で用意せず会社のものを使っている。
  • 報酬が「出来高」ではなく「日給・月給」で支払われている。

② 求人票と面接のギャップに注意

求人票には「正社員募集」「社会保険完備」と書いておきながら、いざ面接に行くと「最初の半年は様子見で業務委託契約で」「給与を高く設定する代わりに、社保は自分で入って」などと、言葉巧みに一人親方契約を迫る手口が多発しています。

③ 建設業界の「クリーンな企業」を知るエージェントを使う

自力で会社の「本性」を見抜くのは困難です。特に下請け構造が複雑な建設業界では、外部から実態は見えません。

建設業界に特化した転職エージェントであれば、 「この会社は、職人を全員正社員として雇用する方針を貫いている」 「過去に社会保険未加入で行政指導を受けたことがある企業だ」 といった、求人サイトには載らない決定的な内部情報を持っています。

あなたの腕と生活を守ってくれる、真っ当な会社に出会うために、プロの力を借りてください。

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