【弁護士が警告】SES・客先常駐エンジニアの罠。「偽装請負」を見抜いて身を守る方法

平成レトロな劇画調イラスト。IT企業のオフィスで、板挟みになり困惑するエンジニアの男性。左側からは「自社の上司」が、右側からは「常駐先のクライアント」が同時に大声で矛盾する指示を出しており、背景には「指揮命令系統の崩壊」という文字が雷のように描かれている。 未分類
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

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IT業界で働くエンジニアのキャリアにおいて、「SES(システムエンジニアリングサービス)」や「客先常駐」は一般的な働き方です。 しかし、弁護士の視点から言えば、最も労働法規上のトラブルが起きやすく、かつ権利関係が曖昧になりやすいのがこの領域です。

「客先の指示が理不尽」
「契約外の仕事を押し付けられる」

もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、それは単なる業務上の悩みではなく、「偽装請負」という違法状態に巻き込まれている可能性があります。 今回は、エンジニアが知っておくべきSESの法的リスクと、ホワイトな環境へ脱出するためのチェックポイントを解説します。


SES・客先常駐エンジニア

危険信号:「指示命令系統の混乱(偽装請負)」

SES(準委任契約)や請負契約で客先に常駐している場合、法律上、あなたに業務の指示(指揮命令)を出せるのは、**「あなたの所属会社(ベンダー)」**だけです。

しかし、現場では**「常駐先(クライアント)の社員から、直接細かい作業指示や残業命令を受ける」という事態が横行しています。これを「偽装請負」**と呼びます。

なぜ「偽装請負」がエンジニアにとって危険なのか?

単に指示をする人が違うだけではありません。ここには重大な法的リスクが潜んでいます。

  • 責任の所在が不明確になる: 本来、SES(準委任)は「業務の遂行」を約束するものであり、完成責任を負わないのが一般的です。しかし、客先から直接指示を受けていると、システムトラブル等の際に「お前の指示通りやったのに」といえず、過大な責任を押し付けられるリスクがあります。
  • 契約外業務の押し付け(タダ働き): 契約書に書かれていない業務(雑用や別プロジェクトの手伝いなど)を、客先の社員が「ついでにこれやって」と気軽に指示してくるケースです。これを断れない環境は、法的根拠のない労働(サービス残業の温床)に直結します。
  • キャリアの停滞: 客先の都合のいい「手足」として扱われるため、スキルアップにつながらない単純作業を延々と指示され続けるリスクがあります。

弁護士のアドバイス:トラブル回避法とチェックポイント

今の職場が「偽装請負」の疑いがある、あるいは次の転職先でそのような目に遭いたくない場合、以下のポイントを確認してください。

① 面接・内定時の「指揮命令者」の確認

転職活動の際、「現場では誰の指示で動くことになりますか?」と質問してください。「基本は現場のリーダー(客先社員)の指示に従ってもらいます」と平然と答える企業は、コンプライアンス意識が欠如している可能性が高いです。

② 契約形態と実態の整合性

「派遣契約」であれば、客先からの指揮命令は適法です。しかし、多くの企業は派遣法による規制(3年ルールやマージン率の公開など)を逃れるために、あえて「準委任(SES)」の形をとります。 「正社員」として雇用されながら、実態は「名ばかりSES(実質派遣)」になっていないかを見極める必要があります。

③ 「商流」の深さを確認する

2次請け、3次請けと商流が深くなるほど、誰が指揮命令権を持っているかが曖昧になり、中間搾取と責任の押し付け合いが発生します。可能な限り「プライム(1次請け)」や「自社開発」への転職を目指すべきです。


「ホワイトな開発現場」を見つける唯一の方法

しかし、求人票に「客先常駐あり」としか書かれていない場合、その実態が「適法なSES」なのか「違法な偽装請負」なのかを見抜くのは、個人の力では限界があります。

だからこそ、**企業の契約実態やコンプライアンス遵守状況を把握している「転職エージェント」**を活用することが、最大のリスクヘッジになります。

特にITエンジニア専門のエージェントであれば、 「この企業はエンジニアを守るために、客先と対等に交渉してくれるか」 「商流が浅く、適正な契約を結んでいるか」 といった、法律家視点でも重要な内部情報を持っています。

法的トラブルに巻き込まれず、エンジニアとして正当に評価される環境へ移るために、プロの力を借りてください。

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