「良いものを創りたい」というクリエイターの情熱につけ込み、違法な働かせ方をしている企業が後を絶ちません。
WEBデザイナーやディレクターの皆さんは、「うちは裁量労働制だから残業代は出ないよ」「納得いくまでやるのがプロでしょ」という言葉で、深夜までの修正対応や休日出勤を強いられていませんか?
弁護士の視点から見ると、その働き方は**「法の抜け穴を悪用した搾取」**である可能性が非常に高いです。 今回は、クリエイティブ業界に蔓延する「名ばかり裁量労働制」の実態と、退職時にもめがちな「著作権トラブル」について解説します。
WEBデザイナー・ディレクター
危険信号:「裁量労働制の悪用(定額働かせ放題)」
業界で最も多いのが、「専門業務型裁量労働制」の悪用です。 これは本来、「業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ねる」代わりに、実労働時間に関わらず「あらかじめ決めた時間(みなし労働時間)働いたとみなす」制度です。
ここが危ない!法的な落とし穴
- ディレクターは「対象外」の可能性大: 法律上、この制度の対象となる業務は限定されています(デザイナー、コピーライターなどは対象)。しかし、「WEBディレクター」は、単なる進行管理や調整業務がメインである場合、法の対象外となる可能性が高いのです。 それにも関わらず、「クリエイティブ職だから」と一括りにして裁量労働制を適用し、残業代を支払わないのは違法です。
- 実態なき「裁量」: 「明日の朝までに修正して」「クライアントの都合で待機」など、時間の自由(裁量)がない状態でこの制度を適用することも違法です。これは単なる「定額働かせ放題」であり、未払い残業代を請求できるケースが多々あります。
もう一つの落とし穴:【著作権】とポートフォリオ問題
転職活動をしようとした時、よくあるトラブルが**「ポートフォリオへの掲載拒否」**です。
- 「会社の制作物だから」: 職務著作(著作権法15条)により、著作権は会社に帰属するのが原則です。しかし、あまりに厳しい守秘義務契約や、退職後の嫌がらせとして「実績としての公開」すら禁じる企業があります。
- これでは、クリエイターとしてのキャリアが閉ざされてしまいます。
弁護士のアドバイス:トラブル回避法とチェックポイント
搾取されずに、クリエイティビティを発揮できる環境に移るためには、以下の視点が不可欠です。
① 給与体系の内訳を確認する
「年俸制」「裁量労働制」という言葉に騙されてはいけません。 その金額を時給換算した時、最低賃金を割っていませんか? また、面接で「ディレクターにも残業代は出ますか?(固定残業代の超過分含む)」と確認し、言葉を濁す会社は避けるべきです。
② 「副業」や「実績公開」の可否
ホワイトな制作会社や事業会社は、クリエイターのスキルアップを推奨するため、副業や個人の実績公開に寛容な傾向があります。「すべて禁止」という会社は、人材を「囲い込む」体質が強いと言えます。
③ 業界に強いエージェントで「内情」を探る
求人サイトの「アットホームな職場です」という言葉ほど信用できないものはありません。 特に制作会社の場合、社長のワンマン体制で労働環境が決まることが多いため、外部からは見えにくいのです。
クリエイティブ職に特化した転職エージェントであれば、 「この会社は勤怠管理が厳格で、深夜残業は原則禁止にしている」 「ディレクターには裁量労働制ではなく、きちんと残業代を支給している」 といった、労働法を遵守している「ホワイト企業」のリストを持っています。
あなたの才能を安売りしないために、プロの代理人を立てて企業を選んでください。



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