【弁護士が解説】タクシー・バス運転手の「事故弁償金」は違法?修理代の自腹強要と歩合給の罠

平成レトロな劇画タッチのイラスト。タクシー会社のガレージ。バンパーが少し凹んだタクシーの前で、運転手が頭を抱えている。その横で、サングラスをかけた強面の運行管理者が、法外な金額が書かれた「修理代請求書」を突きつけている。運転手の給料袋からは小銭が数枚落ちており、背景には「事故は全額自腹!」「ノルマ未達はクビ!」という貼り紙がある。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

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「ちょっとバンパーを擦っただけで、修理代10万円を給料から引かれた」 「売り上げが規定に届かず、歩合率を下げられて手取りが生活保護レベルに…」

タクシーやバスの運転手として働く皆さん。事故のリスクと隣り合わせの毎日の中で、「何かあったら全部自腹」という恐怖に震えていませんか?

弁護士として断言します。会社の車両の修理代を、従業員に全額負担させる契約は、労働基準法違反の可能性が極めて高いです。

会社は「プロなんだから当然」と言いますが、それは利益を独占するための詭弁に過ぎません。今回は、旅客運送業界にはびこる「事故賠償の闇」と、安全な労働環境を手に入れるための会社選びを解説します。


タクシー・バス運転手

危険信号:「累進歩合制と事故賠償金」

この業界で最も多い相談が、事故や売上ノルマにまつわる「金銭的なペナルティ」です。

ここが危ない!法的リスク

  1. 「事故賠償金」の全額自己負担は違法: 労働基準法第16条では、あらかじめ違約金や損害賠償額を決めておくこと(賠償予定)を禁止しています。 また、実際に事故が起きた場合でも、従業員に過失(ミス)があったとしても、会社が修理代の全額を従業員に請求することは、判例上ほとんど認められません。 「利益は会社のもの、リスクは運転手のもの」という理屈は法的に通りません。せいぜい、無事故手当のカット程度が許容範囲であり、修理費の直接請求は「報償責任の法理」に反します。
  2. 恐怖の「足切り(あしきり)」と累進歩合: 一定の売上に達しないと歩合率が極端に下がる「足切り」制度。これ自体は直ちに違法ではありませんが、このノルマを達成するために休憩を取らずに走ったり、危険な運転を誘発したりする温床になっています。 また、ノルマ未達の結果、給与が「最低賃金」を割り込めば、それは明確な法律違反です。
  3. ライドシェア解禁による雇用不安: 今後、ライドシェア(一般ドライバーによる送迎)が拡大することで、正規のタクシー運転手の待遇が悪化する懸念があります。会社が守ってくれるのか、使い捨てにするのか、今まさに見極めが必要です。

弁護士のアドバイス:安心してハンドルを握れる会社の条件

「事故ったら人生終わり」のようなプレッシャーの中で、良い接客や安全運転はできません。転職時は以下のポイントを必ず確認してください。

① 就業規則の「損害賠償」条項を見る

面接で「万が一事故を起こした場合、ドライバーの負担はどうなりますか?」と聞いてください。 ホワイトな会社は**「任意保険に加入しており、免責額(例えば最大2万円など)までが負担です」「修理代は会社持ちですが、無事故手当がつかなくなります」**と明確なルールがあります。 「その時の状況によるかな(=全額請求の可能性あり)」と濁す会社は危険です。

② 「固定給」の比率が高い会社を選ぶ

完全歩合制(フルコミッション)は稼げる反面、病気や事故で休んだ瞬間に生活が破綻します。 バス会社であれば「固定給+距離手当」、タクシーであれば「固定給部分が最低賃金を大きく上回っているか」を確認しましょう。生活の安定こそが安全運転の源です。

③ 業界特化のエージェントで「事故対応」の実績を聞く

求人票には「保険完備」としか書かれていません。 しかし、タクシー・バス専門のエージェントであれば、 「この会社はドラレコなどの安全装備にお金をかけており、事故率が低い」 「過去に事故費用を不当に請求して労基署に入られた会社だ」 といった、命と財布に関わる裏情報を持っています。

リスクを一人で背負わないために、組織として守ってくれる会社を選んでください。

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