【弁護士が解説】保育士の「持ち帰り残業」は違法労働です。人手不足を理由にした「有休拒否」への対抗策

平成レトロな劇画タッチのイラスト。深夜の自宅、散らかった居間でこたつに入り、疲れ切った表情で「壁面飾り」を作っている保育士の女性。時計は深夜2時を指している。こたつの上には「指導案」の書きかけ書類やハサミ、のりが散乱。背後には、鬼のような形相をした園長の幻影が浮かび、「明日までに!」と怒鳴りながら、有給休暇申請書を破り捨てている。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
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「日中は子供のお世話で手一杯。指導案や壁面制作は家に持ち帰って、寝る時間を削ってやるしかない」
「有給休暇を取りたいと言ったら、園長に『代わりの人を見つけてから言って』と怒られた」

保育士の皆さん、子供たちの笑顔を守るために、自分自身の生活と健康を犠牲にしていませんか? 弁護士の立場から言わせていただきます。「子供のため」という言葉で、労働基準法を無視することは許されません。

自宅での作業も、本来は給料が出るべき「労働」です。
今回は、保育現場にはびこる「持ち帰り残業」の法的問題点と、私生活を大切にできる「ホワイト園」を見つけるためのチェックポイントを解説します。


保育士

危険信号:「持ち帰り残業と有休取得妨害」

保育業界の最大の問題は、業務量と人員配置のバランスが崩壊しており、そのしわ寄せが個人の「サービス残業(持ち帰り)」といじめに近い「有休妨害」に向かっている点です。

ここが危ない!法的リスク

  1. 持ち帰り残業は「黙示の業務命令」: 園長が「家でやってこい」と明言しなくても、物理的に勤務時間内に終わらない量の業務を与え、期限までに提出させる状況があれば、それは法的に**「黙示の業務命令」**があったとみなされます。 つまり、自宅で作業した時間は「労働時間」であり、園はこれに対して残業代を支払う義務があります。「自主的にやった」と言いくるめられてはいけません。
  2. 有休拒否と「代わりを探せ」: 有給休暇は労働者の権利であり、理由を問わず取得できます。園側には「時季変更権(忙しい時期をずらしてもらう権利)」がありますが、慢性的な人手不足を理由に**「うちは有休なんて取れないよ」と拒否することは違法**です。 また、「休むなら自分で代わりの先生を探して」と強要する園がありますが、人員配置の責任は経営者にあり、労働者に責任を転嫁することは許されません。

弁護士のアドバイス:ホワイト園を見つけるプロの視点

「持ち帰りゼロ」「有休消化率100%」を実現している園は実在します。転職活動では、以下のポイントで園の運営体制を見極めてください。

① 「ノンコンタクトタイム」とICT導入状況

勤務時間内に事務作業をするための時間(ノンコンタクトタイム)が確保されているかを確認しましょう。 また、手書きの連絡帳や指導案にこだわらず、ICTシステム(登降園管理や書類作成ソフト)を導入している園は、業務効率化への意識が高く、持ち帰り残業が少ない傾向にあります。

② 休憩室の有無と「外出」の可否

「休憩時間中も保育室で子供を見守りながら食事」というのは、労働法上の「休憩」ではありません(手待時間とみなされます)。 「休憩室は別にありますか?」「休憩中に外に出ることは可能ですか?」と聞いてみてください。ここが曖昧な園は、休憩すら取れないブラック労働の可能性大です。

③ 保育士専門エージェントで「園の評判」を聞く

求人票には「アットホームな職場」と書いてあっても、実際は園長のパワハラが横行しているケースがあります。

保育士専門の転職エージェントであれば、 「この園は、行事の衣装作りを外部委託していて負担が少ない」 「ここは有休取得を奨励していて、昨年の消化率は平均80%を超えている」 といった、働きやすさに直結する内部情報を持っています。

子供たちと長く向き合うためにも、まずはあなた自身が大切にされる環境を選んでください。

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