【弁護士が警告】薬剤師を襲う「名義貸し」の罪と、大手チェーンの「強制転勤」トラブル

平成レトロな劇画タッチのイラスト。調剤薬局のカウンター裏。白衣を着た薬剤師が、強面の経営者から「店舗B」と書かれた名札を無理やり渡されている。薬剤師は「店舗A」にいるのに、体だけが引き裂かれるような表現。背景の日本地図には、赤い矢印で「強制転勤」と書かれた理不尽な辞令が飛び交い、家族(妻と子)が泣いている様子が描かれている。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

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「年収800万円提示!ただし管理薬剤師として登録だけお願いします」
「来月から地方へ行ってください」

売り手市場と言われる薬剤師業界ですが、その好条件の裏には、あなたの**「免許」を危険に晒す罠や、生活の基盤を無視した「駒扱い」**のリスクが潜んでいます。

弁護士として断言しますが、会社に言われるがまま違法行為に加担すれば、免許剥奪という最悪の事態もあり得ます。

今回は、薬剤師が絶対に避けるべき「名義貸し」の法的リスクと、不当な配転命令への対抗策を解説します。


薬剤師(調剤・ドラッグストア)

危険信号:「管理薬剤師の名義貸し」と「強制転勤」

薬剤師のトラブルで最も法的リスクが高いのが、薬機法(医薬品医療機器等法)に違反する「名義貸し」です。

ここが危ない!法的リスク

  1. 「名義貸し」は犯罪です(薬機法違反): 薬局には、各店舗に実務に従事する「管理薬剤師」を置く義務があります。 しかし、人手不足の薬局や悪質な経営者が、「勤務実態がない店舗」にあなたの名前を管理薬剤師として登録させようとするケースがあります。 これは明白な法律違反であり、発覚した場合、行政処分(業務停止命令や薬局開設許可の取り消し)だけでなく、協力したあなた自身の薬剤師免許が取り消し(剥奪)や停止処分になる可能性があります。 「会社に命令されたから」という言い訳は通用しません。
  2. 大手チェーンの「不当な配転命令」: ドラッグストアや調剤チェーンでは、「全国転勤可能(ナショナル社員)」と「地域限定(エリア社員)」で給与差をつけるのが一般的です。 しかし、高給につられてナショナル社員を選んだ結果、「親の介護」「子供の進学」などのやむを得ない事情が発生しても、遠隔地への転勤を強制されるトラブルが多発しています。 労働契約上の根拠があっても、労働者の生活を著しく破壊するような「権利の濫用」にあたる配転命令は、法的に無効となる可能性があります。

弁護士のアドバイス:免許と生活を守るためのチェックポイント

苦労して取った資格を失わないために、また、家族との生活を守るために、転職時は以下の点を確認してください。

① 「管理薬剤師」としての勤務実態

小規模な薬局チェーンや、管理体制がずさんなドラッグストアに転職する場合、「自分がどこの店舗の管理薬剤師として登録されるのか」「実際にそこで週何時間勤務するのか」を必ず書面で確認してください。 「あっちの店舗にも名前だけ貸しておいて」と言われたら、その瞬間に退職を検討すべき重大なコンプライアンス違反です。

② 転勤免除の「特約」を書面に残す

大手チェーンへ転職する際、「今は家庭の事情があるので転勤は難しい」と口頭で伝えて採用されても、上司が変われば反故にされるリスクがあります。 労働契約書に**「勤務地は〇〇県内に限る」「育児期間中は転居を伴う異動を免除する」**といった特約条項を必ず盛り込ませてください。

③ コンプライアンス重視のエージェントを選ぶ

薬剤師業界は「紹介会社」が非常に多いですが、中には紹介料欲しさにブラックな薬局を勧めてくる業者もいます。

信頼できる薬剤師専門エージェントであれば、 「この法人は過去に行政指導を受けており、管理体制に問題がある」 「このチェーンは就業規則が厳格で、無理な転勤命令は出さないホワイト企業だ」 といった、企業の「法務リスク」を把握しています。

あなたの人生(免許)を預ける職場選びです。慎重になりすぎることはありません。

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