【弁護士が警告】飲食・小売店長の「残業代ゼロ」は違法?「名ばかり管理職」による搾取手口と過去の判例

平成レトロな劇画タッチのイラスト。深夜のファミリーレストラン。胸に「店長」と書かれた名札をつけた男性が、涙を流しながらモップ掛けをしている。壁の時計は深夜3時。テーブルには未処理の伝票が山積み。背後では、経営者が「店長手当」と書かれた小さな小銭を一枚渡し、代わりに「残業代」と書かれた大きな袋を奪い取っていく様子が描かれている。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

弁護士町田北斗をフォローする

「店長に昇進しておめでとう! これからは管理職だから残業代はつかないけれど、責任を持って頑張ってくれ」

この言葉と共に、わずかな「役職手当」と引き換えに、青天井の長時間労働を強いられていませんか? もしあなたが、アルバイトのシフト穴埋めに追われ、採用の決裁権もなく、時給換算でアルバイトより低い給料で働いているなら、それは法律用語でいう**「名ばかり管理職」**の可能性があります。

弁護士として断言します。肩書きが「店長」でも、法的な条件を満たさなければ残業代を支払わないのは違法です。 今回は、飲食・小売業界で最も悪質な「管理職詐欺」の実態と、そこから抜け出すための正しい知識を解説します。


5-1. 飲食・小売店長

危険信号:「名ばかり管理職(法的な管理監督者ではない)」

労働基準法第41条では、「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)」には、残業代(時間外割増賃金)を払わなくてよいと定めています。 多くのブラック企業はこれを悪用し、権限のない店長を無理やり「管理監督者」として扱い、人件費を削減しています。

ここが危ない!法的リスクと判例

  1. 「権限」がないのに管理職扱い: 過去の裁判例(日本マクドナルド事件など)では、以下の権限がない場合、管理監督ことは否定されています。
    • 店舗の採用や解雇に関する決定権があるか?
    • 自分の勤務時間を自由に決定できるか(遅刻や早退の自由)?
    • 経営方針の決定に参画しているか? 本部が決めたマニュアル通りに動くだけ、シフトの穴埋めで現場作業ばかりしている店長は、法的には「ただの労働者」であり、残業代を請求できます。
  2. 「待遇」が不十分: 管理監督者として認められるには、その地位にふさわしい**「十分な賃金」**が支払われている必要があります。 「月1万円の店長手当」だけで、月何十時間もの残業代をチャラにすることは法的に認められません。
  3. 深夜割増は「ゼロ」にはならない: 仮に正式な管理監督者であったとしても、「深夜労働(22時〜翌5時)」の割増賃金は支払う義務があります。 「管理職だから深夜手当も出ない」と言われているなら、それは二重の法律違反です。

弁護士のアドバイス:搾取されない転職へのチェックポイント

「店長」という肩書きに騙されて、体を壊しては元も子もありません。適正な評価と対価を得られる環境に移るために、以下の点を確認してください。

① 「店長手当」と「みなし残業」の確認

求人票を見る際、「店長候補:月給35万円」の内訳を必ず確認してください。 もし「基本給20万円+役職手当5万円+固定残業代10万円(80時間分)」のような構成なら要注意です。基本給を低く抑え、長時間労働を前提とした給与体系である可能性が高いです。

② 「スーパーバイザー(SV)」や「エリアマネージャー」の働き方を見る

その会社の店長が、将来的にキャリアアップできる環境か、それとも「店長=使い捨ての終着点」なのかを見極める必要があります。 SVですら疲弊している会社は、組織全体の労務管理が破綻しています。

③ 飲食・小売に特化したエージェントで「実態」を聞く

業界全体がブラックなわけではありません。「完全週休2日制」「残業代全額支給(1分単位)」を徹底しているホワイト企業も存在します。

業界特化のエージェントであれば、 「このチェーンは、店長の権限と責任が明確で、残業代もしっかり出る」 「ここは『名ばかり管理職』で過去に労基署の指導が入ったため、今は改善されている」 といった、内部のコンプライアンス事情を把握しています。

あなたの「責任感」を、正当に評価してくれる会社を選んでください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました