【弁護士が解説】美容師の「練習時間はタダ」は嘘。「辞めるなら研修費を払え」というブラックサロンの違法性

平成レトロな劇画タッチのイラスト。深夜の美容室。疲れ果てたアシスタントの女性が、ウィッグ(マネキン)のカット練習をしている。壁の時計は深夜1時。背後には派手な格好をしたオーナーが立ち、「辞めるなら研修費50万払え!」と書かれた請求書を突きつけている。アシスタントの足元には「チラシ配りノルマ」の紙が散乱している。 職種別トラブル集
弁護士町田北斗

2018年登録・東京弁護士会所属
個々人が業種や職種毎のトラブルを予測回避するのは極めて困難です。
本サイトでは、過去に発生したトラブル事例を分析して回避することで、失敗しない企業・エージェントを選び抜き、安全なキャリア形成を支援します。

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「一人前になるまでは修行だから、残業代なんてないよ」 「今辞めるなら、これまでにかかった研修費と違約金、合わせて50万円払ってもらう」

美容師やエステティシャンの皆さん、夢を叶えるために、このような**「奴隷奉公」のような扱い**を我慢していませんか?

弁護士としてハッキリ申し上げます。強制された練習時間は「労働時間」ですし、退職を足止めするための「違約金」請求は明白な法律違反です。

「業界の常識」は「世間の非常識(違法)」であることが多々あります。今回は、美容業界特有の労務トラブルと、搾取されずにスキルアップできるサロンの選び方を解説します。


5-2. 美容師・エステティシャン

危険信号:「練習時間の賃金未払い・研修費天引き」

美容業界では「技術を教えてやっている」という意識が経営者側に強く、労働基準法が無視されがちです。特に若手スタッフを狙った搾取構造には注意が必要です。

ここが危ない!法的リスク

  1. 強制参加の練習会・モデルハントは「労働時間」:
    • 先輩がチェックする早朝・居残りの練習
    • 営業終了後のミーティング
    • 休日のモデルハント(モデハン)やチラシ配り これらを店側が義務付けていたり、参加しないとペナルティ(昇給遅れや叱責)があったりする場合、それは**完全に「労働時間」**です。これらに対して賃金を支払わないのは、違法なサービス残業(賃金未払い)にあたります。
  2. 退職時の「研修費・違約金」請求: 「入社して半年で辞めるなら、研修費として30万円払え」 「契約期間満了前に辞めるなら違約金が発生する」 このような契約は、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)違反により、無効となる可能性が極めて高いです。会社が従業員を教育するのは会社の利益のためであり、その費用を従業員に請求することは原則できません。脅しに屈して支払う必要はありません。
  3. 道具代・講習費の過度な自腹: 業務に必要なシザー(ハサミ)や高額な化粧品、外部講習費を全て自己負担させるケースも問題です。完全な強制であれば、会社が負担すべき経費とみなされる場合があります。

弁護士のアドバイス:クリエイティブかつホワイトなサロンの条件

「技術を磨くこと」と「タダ働き」はイコールではありません。近年増えている「ホワイトサロン」を見つけるために、以下のポイントをチェックしてください。

① 「練習時間」が営業時間内に組み込まれているか

古い体質のサロンはいまだに「練習は夜中にやるもの」と考えますが、優良なサロンは**「アカデミー制度」を設け、営業時間中に集中して練習を行います。** 面接で「カリキュラムはいつ行いますか?」「先輩のチェック体制はどうなっていますか?」と確認しましょう。

② 雇用契約書の「退職条項」を確認する

入社前に契約書をよく読み、「退職時に金銭を請求する」ような文言がないかチェックしてください。もしあれば、そのサロンは「辞めさせないこと」でしか人を繋ぎ止められないブラック企業の可能性が高いです。

③ 美容業界特化のエージェントを使う

一般的な求人サイトでは、サロンの内部事情までは分かりません。

美容業界に特化したエージェントであれば、 「このサロンは社保完備で、残業代も1分単位で支給している」 「離職率が低く、産休・育休からの復帰実績も多い」 といった、長く働ける環境かどうかの情報を持っています。

あなたの情熱と技術を、不当な搾取で消費させないでください。

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