「一人前になるまでは修行だから、残業代なんてないよ」 「今辞めるなら、これまでにかかった研修費と違約金、合わせて50万円払ってもらう」
美容師やエステティシャンの皆さん、夢を叶えるために、このような**「奴隷奉公」のような扱い**を我慢していませんか?
弁護士としてハッキリ申し上げます。強制された練習時間は「労働時間」ですし、退職を足止めするための「違約金」請求は明白な法律違反です。
「業界の常識」は「世間の非常識(違法)」であることが多々あります。今回は、美容業界特有の労務トラブルと、搾取されずにスキルアップできるサロンの選び方を解説します。
5-2. 美容師・エステティシャン
危険信号:「練習時間の賃金未払い・研修費天引き」
美容業界では「技術を教えてやっている」という意識が経営者側に強く、労働基準法が無視されがちです。特に若手スタッフを狙った搾取構造には注意が必要です。
ここが危ない!法的リスク
- 強制参加の練習会・モデルハントは「労働時間」:
- 先輩がチェックする早朝・居残りの練習
- 営業終了後のミーティング
- 休日のモデルハント(モデハン)やチラシ配り これらを店側が義務付けていたり、参加しないとペナルティ(昇給遅れや叱責)があったりする場合、それは**完全に「労働時間」**です。これらに対して賃金を支払わないのは、違法なサービス残業(賃金未払い)にあたります。
- 退職時の「研修費・違約金」請求: 「入社して半年で辞めるなら、研修費として30万円払え」 「契約期間満了前に辞めるなら違約金が発生する」 このような契約は、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)違反により、無効となる可能性が極めて高いです。会社が従業員を教育するのは会社の利益のためであり、その費用を従業員に請求することは原則できません。脅しに屈して支払う必要はありません。
- 道具代・講習費の過度な自腹: 業務に必要なシザー(ハサミ)や高額な化粧品、外部講習費を全て自己負担させるケースも問題です。完全な強制であれば、会社が負担すべき経費とみなされる場合があります。
弁護士のアドバイス:クリエイティブかつホワイトなサロンの条件
「技術を磨くこと」と「タダ働き」はイコールではありません。近年増えている「ホワイトサロン」を見つけるために、以下のポイントをチェックしてください。
① 「練習時間」が営業時間内に組み込まれているか
古い体質のサロンはいまだに「練習は夜中にやるもの」と考えますが、優良なサロンは**「アカデミー制度」を設け、営業時間中に集中して練習を行います。** 面接で「カリキュラムはいつ行いますか?」「先輩のチェック体制はどうなっていますか?」と確認しましょう。
② 雇用契約書の「退職条項」を確認する
入社前に契約書をよく読み、「退職時に金銭を請求する」ような文言がないかチェックしてください。もしあれば、そのサロンは「辞めさせないこと」でしか人を繋ぎ止められないブラック企業の可能性が高いです。
③ 美容業界特化のエージェントを使う
一般的な求人サイトでは、サロンの内部事情までは分かりません。
美容業界に特化したエージェントであれば、 「このサロンは社保完備で、残業代も1分単位で支給している」 「離職率が低く、産休・育休からの復帰実績も多い」 といった、長く働ける環境かどうかの情報を持っています。
あなたの情熱と技術を、不当な搾取で消費させないでください。



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